「資本の成長速度(r)は、経済成長率(g)を上回る」
経済学者トマ・ピケティの有名な主張です。
簡単に言えば、
資産を持つ人のお金は、労働所得より速いペースで増えていく
という考え方です。
本当にそんなことが起きているのでしょうか。
今回は数字を使って考えてみます。
まずは日本人の給料の伸びを見てみる
国税庁のデータによると、平均年収はおおむね以下のようになっています。
| 年齢 | 平均年収 |
|---|---|
| 25〜29歳 | 394万円 |
| 35〜39歳 | 466万円 |
| 45〜49歳 | 521万円 |
| 55〜59歳 | 545万円 |
例えば、
25歳から35歳までの10年間で、
394万円 → 466万円
約18%増加しています。
年率に換算すると約1.7%です。
30歳から40歳では、
431万円 → 501万円
約16%増加。
年率約1.5%。
40歳から50歳では、
501万円 → 540万円
約8%増加。
年率約0.8%。
もちろん昇進や転職によって大きく増える人もいます。
しかし平均的に見ると、
労働所得の伸びは年率1〜2%程度
と言えそうです。
一方、株式はどうだったのか
世界株式の長期リターンは、おおむね年率5〜7%程度と言われています。
もちろん毎年そうなるわけではありません。
暴落もあります。
何年も停滞することもあります。
それでも数十年単位で見ると、労働所得の伸びを大きく上回る結果になってきました。
100万円を10年間運用した場合で考えてみます。
年率1.5%で増えた場合
100万円
↓
約116万円
年率7%で増えた場合
100万円
↓
約197万円
同じ10年でも、
増加額は
16万円と97万円。
約6倍の差になります。
数字だけを見ると、
確かに資本の成長速度は労働所得の成長速度を大きく上回っています。
ただし、ここで勘違いしてはいけない
ここから
「じゃあ労働なんて意味がない」
という結論にはなりません。
むしろ逆です。
例えば、
100万円を年率10%で運用したとします。
1年後は110万円。
増えた金額は10万円です。
確かに10%という数字は魅力的です。
しかし10万円では、多くの会社員の月給にも届きません。
一方で、
毎日会社へ行って働けば、
月に20万円、30万円という収入を得られます。
資産形成の初期段階では、
実は投資より労働の方が圧倒的に強いのです。
本当に大切なのは「元本」
投資の世界では、
利回りばかりに目が行きがちです。
しかし実際に重要なのは元本です。
100万円の10%
→ 10万円
1000万円の10%
→ 100万円
1億円の10%
→ 1000万円
同じ10%でも、
元本によって生み出されるお金はまったく違います。
資本の力が本領を発揮するのは、
ある程度の資産が育ってからです。
私がr>gから学んだこと
私はこのデータを見て、
「労働をやめるべきだ」
とは思いませんでした。
むしろ、
労働は種銭を作る最強の手段だ
と思っています。
毎月の給料があるから投資できる。
生活費を払いながら資産を育てられる。
まずは労働で種銭を作る。
そして余ったお金を少しずつ資産に変える。
その繰り返しです。
まとめ
過去のデータを見る限り、
資本の成長速度は労働所得の成長速度を大きく上回ってきました。
r>gは、おおむね成立していると言えそうです。
しかし、
それは「労働不要論」を意味しません。
むしろ最初は労働が必要です。
100万円の10%は10万円でしかありません。
投資だけで生活できるようになるには、まず元本を育てる必要があります。
だから私は、
労働を否定しません。
ただし、労働だけに頼るつもりもありません。
労働で種銭を作り、その一部を資産へ変える。
それが資本主義というゲームの中で、私なりに見つけた現実的な戦い方です。
