投機で負ける人、投資で勝つ人。生き残る投資家は期待値で考える

投機で負ける人、投資で勝つ人。生き残る個人投資家は「期待値」で考える

株式投資では、思うように利益が出ず、どうすれば勝率を上げられるのか悩むこともあるのではないでしょうか。買った後に株価が下がったり、損切りした途端に株価が上昇したりすると、もどかしく感じるものです。

投資で利益を出すには、勝率を高めることが大切だと考える人も多いかもしれません。しかし、勝率が5割を下回っていても、トータルで利益を出すことは可能です。

大切なのは、勝率だけでなく、勝ったときの利益と負けたときの損失のバランスも考えること。その判断の軸となるのが「期待値」です。

この記事では、勝率とリスクリワードの関係を通じて、期待値を軸に投資を考える重要性を解説します。

目次

勝率だけでは投資の成績は決まらない

期待値とは何か

期待値とは、同じ条件で取引を繰り返したとき、1回あたりに平均してどれくらいの損益が見込めるかを表す考え方です。

計算式は次のとおりです。

期待値 = 勝率 × 平均利益 − 負ける確率 × 平均損失

例えば、勝率40%、平均利益3万円、平均損失1万円の場合、期待値は1回あたりプラス6,000円になります。

毎回6,000円の利益が出るわけではありませんが、同じ条件で十分な回数を繰り返した場合、平均的には利益が期待できるということです。

反対に、勝率が60%でも、平均利益が1万円、平均損失が2万円なら、期待値はマイナスになります。勝つ回数が多くても、1回の損失が大きければ、トータルで利益が残るとは限りません。

リスクリワードと勝率の関係

期待値を考えるうえで、売買前に意識したいのがリスクリワードです。これは、1回の取引で想定する損失と利益の比率を指します。

例えば、損切り幅が1万円、利確幅が2万円なら、リスク1に対してリワード2です。この条件では、1回の利益で2回分の損失を補えるため、勝率が約33.3%を超えれば、取引コストを考慮しない場合、期待損益はプラスになります。

一方、利確幅が5,000円、損切り幅が1万円なら、1回の損失を取り戻すには2回の勝ちが必要です。そのため、利益を早く確定する一方で損失をなかなか確定できない「利小損大」の状態では、利益を残すことが難しくなります。

初心者は勝率を意識しすぎるあまり、少し利益が出るとすぐに売り、含み損が出ると回復を期待して保有を続けてしまうことがあります。

こうした売買を避けるためにも、購入前に利確と損切りの水準を決め、想定する利益と損失の比率が自分の取引ルールに合っているかを確認することが大切です。

リスクリワードで変わる利益と損失

損切り幅を1万円に設定した場合

パターン A 利益を大きく狙う
利確 +2万円
損切り −1万円
リスク 1 : リワード 2

1回の利益で、2回分の損失を補える

パターン B 利益が小さく、損失が大きい
利確 +5,000円
損切り −1万円
リスク 2 : リワード 1

損失を取り戻すには、2回の勝ちが必要

利確と損切りは、購入前に決めておこう。

勝率だけでなく、利益と損失の比率も意識することが大切です。

※ 手数料・税金などを考慮しない例です。

期待値がプラスになる取引を選ぶ

支持線やインジケーターは優位性で選ぶ

テクニカル分析では、支持線や抵抗線を引いたり、移動平均線や各種インジケーターを使ったりします。

しかし、線を引いたり、インジケーターを表示したりするだけで利益が生まれるわけではありません。重要なのは、それを使った取引に優位性があるかどうかです。

私は自分で引いた支持線に順位をつけています。反発する可能性が低い線で何度もエントリーするより、反発する可能性が高いと判断した線に絞って取引するほうが、利益を残しやすいと考えているからです。

もちろん、強いと判断した支持線でも必ず反発するわけではありません。過去のチャートなどを使い、その判断が本当に機能しているかを検証する必要があります。

重要なのは分析ツールの数ではなく、その条件で取引を繰り返したときに利益が残るかどうかです。

勝率が低くても期待値がプラスならよい

勝率が低いことだけを理由に、その手法を否定する必要はありません。

極端な例ですが、勝率が10%でも、勝ったときの利益が負けたときの損失の10倍なら、トータルで利益が残る可能性があります。

例えば、10回の取引で1回勝ち、その利益が10万円だったとします。残り9回の損失がそれぞれ1万円なら、合計では1万円の利益です。

ただし、勝率が低い手法は連敗による資金面・精神面の負担が大きくなります。また、想定した勝率や利益・損失が実際と異なれば、期待どおりの結果になるとは限りません。

期待値の数字だけを見るのではなく、連敗に耐えられるか、実際の取引でも同じ傾向が続くかを考えることが大切です。

期待値を守るための売買と資金管理

損切りと利確は購入前に決める

株を購入してから売り方を考えるのではなく、事前に取引のシナリオを決めておくことが大切です。

  • どのような条件で買うのか
  • どこで損切りするのか
  • どこで利確するのか
  • 想定する利益と損失はどれくらいか

私が損切りで重視しているのは、自分が想定していたシナリオが崩れたタイミングで売却することです。

例えば、支持線での反発を想定して購入したなら、その支持線を明確に下回るなど、当初のシナリオが崩れたときに損切りを検討します。

ただし、すべての銘柄を同じ基準で売却するわけではありません。私は株主優待を目的に購入した銘柄については、株価が下落して含み損が増えても、その優待が不要にならない限り保有を続けます。値上がり益を狙う取引と、優待を得るための保有では、購入する目的そのものが違うからです。

もちろん、優待の内容や企業の業績などに変化があれば、保有を続けるか見直す必要もあります。

私は購入から売却までの注文をあらかじめ設定し、取引中に感情で判断を変えないようにしています。注文の大半で利用しているのがIFD-OCO注文です。

IFD-OCO注文は、新規注文が約定した後に、利益確定と損切りの注文を設定できる方法です。購入時に利確と損切りの水準も決めておくことで、事前のシナリオに沿った取引をしやすくなります。ただし、急な値動きや価格の飛びによって、想定した価格で約定しないこともあります。

資金管理で取引を続けられる状態を保つ

期待値がプラスの手法でも、資金管理ができていなければ、取引を続けられなくなることがあります。短期的には連敗も起こるため、1回の損失が大きすぎると、資金を大幅に減らしてしまう可能性があります。

私も投資を始めたばかりの頃は、好きな銘柄だからという理由だけで、明確な根拠もなく大きな資金を投じていました。しかし、銘柄への期待や好みと、その取引の期待値は別の話です。

そのため、1回の取引でどれくらいの損失を許容するのかを決め、無理のない範囲で取引することが重要です。

期待値がプラスであることと、大きな資金を投じてもよいことは別です。 手法の優位性だけでなく、連敗しても取引を続けられる資金管理を心がけましょう。

期待値を過信せず、取引を振り返る

体感と実際のデータを照らし合わせる

自分では強い支持線だと思っていても、実際にはあまり反発していないかもしれません。感覚だけで判断せず、過去のチャートや取引履歴を使って検証しましょう。

例えば、支持線での反発を狙うなら、次の項目を記録しておくと役立ちます。

  • どのような条件で支持線を引いたのか
  • 利確や損切りに至った割合
  • 実際の勝率
  • 平均利益と平均損失

事前の想定と実際の結果を比較すれば、手法の改善点が見えてきます。想定より成績が悪ければ、分析方法や相場環境、売買ルールを見直すきっかけになります。

ただし、過去のチャートで利益が出ていても、将来も同じ結果になるとは限りません。検証した取引回数が少ない場合や、都合のよい事例だけを選んだ場合は、優位性を過大評価する可能性があります。できるだけ多くの事例を確認し、検証に使っていない期間でも同じ傾向が見られるかを確かめることが大切です。

まとめ

投資では、勝率が5割を下回っていても、利益と損失のバランスによってはトータルで利益を残せます。

大切なのは、勝率だけにとらわれず、リスクリワードを踏まえて期待値を考えることです。支持線などの優位性を検証し、売買のシナリオと資金管理を徹底したうえで、実際の取引データをもとに改善を続けましょう。

すべての取引に勝つ必要はありません。目先の勝ち負けに振り回されず、優位性があると判断できる取引を積み重ねることが、長く相場に残るための基本です。

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