自分のポートフォリオに、債券を組み込むべきか悩んでいませんか。
債券には値動きを抑える役割がありますが、誰にとっても必要とは限りません。
適した資産配分は、お金を使う時期や収入の安定性、値下がりへの耐性によって変わります。
この記事では、債券の役割を踏まえ、時間・メンタル・金額の3つの視点から、組み込むべき人とそうでない人を解説します。
債券を組み込む役割
債券を組み込む目的は、株式だけに集中している資産を分散し、運用全体のリスクを調整することです。値動きを抑えるだけでなく、相場の下落に備えたり、資産配分を調整したりする手段にもなります。
値動きを抑え、運用効率を高める
株式は長期的な資産の成長を期待できる一方、相場によっては大きく値下がりします。株式だけで運用すると、資産全体が株式市場の動きに大きく左右されます。
そこで債券を組み合わせると、株式と異なる値動きをする資産を保有できるため、ポートフォリオ全体の値動きを抑えられます。
こうした分散投資は、現代ポートフォリオ理論でも重視されています。期待リターンを維持しながらリスクを抑えられれば、リスクに対するリターンの効率を示すシャープレシオも改善します。
大切なのは、債券を持つこと自体ではなく、株式だけでは偏りやすいリスクを調整し、自分に合ったポートフォリオを作ることです。
暴落への備えとリバランス
債券には、株式市場が大きく下落したときに、資産全体の下落を和らげる役割もあります。
例えば、株式が大きく値下がりしても、保有している債券の価格が比較的安定していれば、株式だけで運用する場合よりも資産全体の下落を抑えられます。
また、株式の下落によってポートフォリオ内の株式の割合が低下したとき、債券を一部売却して株式を買い増す方法もあります。あらかじめ決めた資産配分に戻すために売買することをリバランスといいます。
債券を保有していれば、相場が下落した際に株式を買い増すための資金源として活用できます。値下がりした資産を買い増し、当初の資産配分を維持するための手段になるのです。
ただし、債券も金利の上昇や信用状況の悪化などによって値下がりします。株式と債券が同時に下落することもあるため、債券を組み込めば必ず損失を抑えられるわけではありません。分散効果は、債券の種類や金利環境、株式との値動きの関係によって変わります。
債券を組み込むか判断する3つの視点
債券が必要かどうかは、年齢だけでは決められません。お金を使うまでの時間、値下がりに対する考え方、投資額や収入の状況を踏まえて判断しましょう。
お金を使うまでの時間
まず考えたいのが、運用しているお金をいつ使う予定なのかという点です。
例えば、数年以内に住宅購入や教育費などに充てる予定がある場合、必要な時期に株式市場が下落していると、損失を抱えたまま売却せざるを得ないことがあります。
私自身は、お金を使うまで5年以内かどうかを一つの目安にしています。こうした資金については、株式の割合を抑え、預貯金など値動きの小さい資産を確保することが大切です。債券も選択肢になりますが、価格変動があるため、近いうちに使うお金をすべて債券に回せばよいわけではありません。
一方、何十年も先まで使う予定がないお金なら、短期的な値下がりを受け入れながら、株式を中心に運用する考え方もあります。
お金を使う時期が近づいている人ほど、資産を増やすことだけでなく、必要なときに資金を確保できることも重視しましょう。
値下がりにどこまで耐えられるか
同じ金額が値下がりしても、気にせず保有し続けられる人もいれば、不安になって売却したくなる人もいます。
株式中心のポートフォリオが大きく下落したとき、精神的な負担から投資をやめてしまいそうなら、債券を組み合わせて値動きを抑えることが選択肢になります。
私自身は、株式市場が50%下落した場合を想定し、自分の資産がどこまで含み損を抱えても耐えられるかを考えることが大切だと思っています。
一方、資産が一時的に大きく減っても、生活に支障がなく、投資方針を変えずに運用を続けられる人なら、債券を保有する必要性は低いでしょう。
大切なのは、頭の中で値下がりに耐えられると思うかどうかだけではありません。実際に資産が減ったとき、自分がどう行動するかまで考えておきましょう。
投資額と収入の安定性
投資している金額が大きくなれば、同じ下落率でも失う金額は大きくなります。
例えば、投資額が100万円なら10%の下落で評価額は10万円減りますが、投資額が1,000万円なら100万円減ります。金額が大きくなるほど、値下がりが心理面や生活設計に与える影響も大きくなります。
また、本業の収入が不安定な人や、退職によって給与収入が減る予定の人は、運用資産が減ったときに生活を維持できるかも重要です。
収入が不安定な人は、まず生活防衛資金を確保し、近い将来に必要なお金を投資に回さないことが基本です。そのうえで、運用資産の値動きが生活に与える影響を考え、必要に応じて債券の割合を調整しましょう。
債券が向く人・向かない人
ここまでの3つの視点を踏まえると、債券が向いている人と、株式中心の運用が合っている人は、次のように整理できます。
| 判断基準 | 債券を組み込むメリットが大きい人 | 株式中心でもよい人 |
|---|---|---|
| お金を使うまでの時間 | 退職後の取り崩しなど、資産を使う時期が近づいている | 長期運用ができ、当面使う予定のない資金が中心 |
| 値下がりへの耐性 | 大きな下落に不安を感じ、売却してしまいそう | 大きな値下がりにも動じず、運用を続けられる |
| 投資額・収入 | 値下がりが生活設計に与える影響が大きい | 生活防衛資金を確保し、値下がりにも対応できる |
もちろん、これらは判断の目安です。3つの基準すべてが同じ方向を示すとは限りません。
例えば、長期運用ができても、株式の値下がりが精神的に大きな負担になる人もいます。その場合は、債券を組み合わせて、自分が無理なく続けられる資産配分に調整することが大切です。
迷ったら債券を組み込む方向で考えたい
私自身は、株式だけで運用することに迷いがあるなら、債券を組み込む方向から考えてみるのがよいと思っています。
投資ではリターンを高めることだけでなく、無理なく運用を続けられることも大切だからです。
株式の値動きが大きくて不安になり、下落局面で売却してしまえば、長期投資を続けることが難しくなります。債券を組み合わせて値動きを抑えることは、落ち着いて運用を続けるための助けになります。
もちろん、債券を持つこと自体が正解なのではありません。大きな値下がりを受け入れられ、生活防衛資金も十分に確保できている人なら、株式中心のポートフォリオも合理的な選択です。
迷ったときは、リターンを最大化できるかだけでなく、自分が長期的に続けられる運用方法かどうかも判断基準にしてみましょう。
まとめ
債券を組み込むかどうかは、お金を使うまでの時間、値下がりへの耐性、投資額や収入の安定性を踏まえて考えることが大切です。
債券は、ポートフォリオのリスクを調整し、長期投資を続けやすくするための選択肢です。一方、生活防衛資金を確保し、大きな値下がりにも対応できる人なら、株式中心の運用も考えられます。
私の考えとしては、株式だけで運用することに迷いがあるなら、債券を組み込む方向から考えてみるのがおすすめです。大切なのは、債券を持つこと自体ではなく、自分の投資方針に合った資産配分を選ぶことです。



