貯金は経済を回していない、は雑すぎる

「貯金しても経済は回らない。金を使え」

たまにこういう話を見かけます。

たしかに、お金を使えば、その場でお店の売上になり、働いている人の収入になります。
消費が経済を直接動かすのは事実です。

でも、だからといって

「貯金は経済を回していない」
「使う人だけが経済に貢献している」

とまで言うのは、さすがに雑すぎます。

なぜなら、私たちが銀行に預けたお金は、そのまま金庫で眠っているわけではないからです。
銀行や金融機関が、そのお金を企業や個人、国に流し、代わりに経済を回しています。

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貯金したお金は、消えているわけではない

例えば、あなたが銀行口座に10万円を預けたとします。

その10万円が、銀行の金庫にそのまま閉じ込められて、永久に動かないわけではありません。

銀行は、預かった預金をもとにして、企業にお金を貸したり、個人に住宅ローンを出したり、国債を買ったりしています。
つまり、預金という形で銀行に置かれたお金は、銀行を通じて再び社会の中に流れていきます。

もちろん、預金のすべてがそのまま貸し出されるわけではありません。
でも少なくとも、「貯金したお金は社会から消えている」という理解は間違いです。

貯金は、銀行や金融機関にバトンを渡しているだけです。
そして金融機関が、そのお金を代わりに経済へ流しています。

銀行に預けたお金は、主にこんな形で使われる

銀行に預けられたお金は、ざっくり言えば次のような形で社会に出ていきます。

1. 企業の設備投資や事業資金になる

銀行は、企業にお金を貸します。

例えば、新しい工場を建てたい会社。
店舗を増やしたい会社。
新しいシステムを導入したい会社。
事業を拡大したい中小企業。

こうした会社に銀行が融資をすると、そのお金は工場建設、設備投資、システム導入、人件費などに使われます。

すると、その先で建設会社や設備会社、IT企業、そしてそこで働く人たちの給料にまでお金が流れていきます。

つまり、あなたの貯金は、間接的に企業の成長や雇用を支える原資になっています。

2. 住宅ローンや教育ローンとして、誰かの人生を支える

銀行が貸す相手は企業だけではありません。

住宅ローンを組む人。
教育ローンを借りる人。
車のローンを組む人。

こうした個人向けの融資も、預金を原資にしています。

例えば住宅ローンが実行されれば、ハウスメーカーにお金が入り、建材会社や家具メーカーにもお金が流れます。
教育ローンなら、その人が大学に通い、将来の収入を増やすきっかけになるかもしれません。

貯金したお金は、誰かの人生の大きなイベントを支えるお金にもなっています。

3. 国債を通じて、公共サービスやインフラに回る

銀行は、預かったお金で国債を買うこともあります。

国債は、簡単に言えば国の借金です。
国は国債を発行してお金を集め、そのお金を公共サービスや政策に使います。

道路や橋の整備。
医療や福祉。
教育。
防災。
科学技術やインフラへの投資。

もちろん、「あなたの預金10万円がこの道路になりました」と一対一で対応するわけではありません。
でも、金融機関が国債を買うことで、国が資金を調達し、社会全体を支える仕組みが動いているのは事実です。

4. 金融機関が投資や運用を通じて、さらにお金を流している

銀行や金融機関は、ただお金を預かっているだけではありません。

預かったお金を運用し、債券を買い、さまざまな形で資金を市場に流しています。
つまり、預金した人が直接何かを買わなくても、金融機関が代わりに投資や融資をして、経済を回しているんです。

ここを無視して「貯金は経済を止めるだけ」と言うのは、かなり乱暴だと思います。

消費は「直接」経済を回す。貯金は「間接」経済を回す

ここで誤解してほしくないのは、私は「だから消費しなくていい」と言いたいわけではありません。

消費には、かなり大きな意味があります。

外食をすれば飲食店の売上になる。
旅行に行けば観光地にお金が落ちる。
服を買えばアパレル企業や物流にお金が流れる。

消費は、いまこの瞬間の経済を直接動かします。
これは間違いなく大事です。

ただ、それと同時に、貯金にも役割があります。

貯金は、銀行や金融機関を通じて、企業の投資や個人のローン、国の資金調達に回る。
つまり、

消費は直接、経済を回す。
貯金は間接、経済を回す。

ただそれだけです。

「貯金は悪、消費は正義」は単純化しすぎている

もちろん、みんなが極端にお金を使わなくなれば、目先の消費は落ちます。
企業の売上も減ります。
景気に悪影響が出ることもあります。

でも、そこから

「だから貯金は経済を回していない」
「使う人だけが偉い」

とまで言うのは、話を単純化しすぎです。

銀行預金は、銀行が企業や個人や国に流している。
保険会社や年金や投資信託も、集めたお金を市場に流している。
金融システムそのものが、貯金を経済活動に変換する装置になっています。

だから、貯金は経済から離脱しているのではありません。
金融機関にバトンを渡しているだけです。

結論:貯金も経済を回している

「金を使え。経済を回せ」

その気持ちは分かります。
実際、消費が経済を直接動かすのは事実です。

でも、だからといって貯金を悪者にするのは違います。

私たちが銀行に預けたお金は、企業への融資になり、住宅ローンになり、国債の購入になり、金融市場を通じた投資にもなっています。
つまり、貯金したお金も、金融機関が代わりに経済を回しているんです。

だから私は、「貯金は経済を回していない」という言い方が好きではありません。

消費は直接、経済を回す。
貯金は間接、経済を回す。

使うことだけが正義ではない。
貯めることにも、ちゃんと役割があります。

少なくとも、「貯金=死に金」と言い切るのは雑すぎる。
私はそう思っています。

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