会社に持ち株会があると、
「奨励金がつくなら、入った方が得では?」
と思う人は多いと思います。
実際、持ち株会はかなり魅力的です。
給与天引きで自動的に積み立てられますし、会社によっては拠出額に対して10%前後の奨励金がつくこともあります。
毎月10万円積み立てて、奨励金が10%なら、会社が毎月1万円を上乗せしてくれる計算です。
これだけ聞くと、かなりお得に見えます。
しかし、持ち株会には意外と知られていない落とし穴があります。
持ち株会は本当に得なのか
例えば、毎月10万円を30年間積み立てるとします。
持ち株会の奨励金が10%なら、実際に投資に回る金額は毎月11万円です。
ここでは、かなり好意的に見て
- 持ち株会:毎月11万円、年利5%
- NISAのインデックス投資:毎月10万円、年利7%
で比較してみます。
30年後の資産額を比較すると
まず持ち株会です。
毎月11万円を30年間、年利5%で運用できたとすると、30年後の評価額は約9,155万円になります。
ただし、持ち株会はNISAのように非課税ではありません。
元本は
11万円 × 12か月 × 30年 = 3,960万円
です。
つまり利益は約5,195万円。
ここに約20%の税金がかかるため、税引き後に手元に残るのは約8,100万円です。
一方、NISAで毎月10万円を年利7%で30年間積み立てた場合、30年後の評価額は約1億2,200万円になります。
元本は3,600万円ですが、NISAなら利益に税金はかかりません。
つまり、そのまま約1億2,200万円が手元に残ります。
奨励金10%があってもNISAに負ける
この2つを並べると、結果はかなりはっきりしています。
- 持ち株会:約8,100万円
- NISA:約1億2,200万円
差額は約4,100万円です。
持ち株会は毎月1万円の奨励金がつくので、一見するとかなり有利に見えます。
それでも、長期で見ればNISAのインデックス投資の方が大きな資産になる可能性があります。
奨励金があるからといって、持ち株会が最適解とは限らないのです。
持ち株会の本当のリスクは「会社に寄りすぎること」
私が持ち株会の最大の落とし穴だと思うのは、ここです。
資産が自社に偏りすぎること。
会社員はすでに、
- 毎月の給料
- ボーナス
- 退職金
など、多くを会社に依存しています。
そこに加えて、金融資産まで自社株に集中させると、生活も資産も同じ会社に大きく左右されることになります。
会社の業績が悪化したとき、
- 給料が減る
- ボーナスが減る
- リストラの不安が出る
- 自社株も下がる
ということが同時に起こり得ます。
つまり、
仕事と資産の両方を同じ会社に賭ける状態
になりやすいのです。
これが持ち株会の一番怖いところだと思っています。
じゃあ持ち株会はやらない方がいいのか
私はそうは思いません。
奨励金が高い会社なら、持ち株会は十分魅力があります。
ただし、
持ち株会だけに全力で積み立てるのは危険
だと思っています。
例えば、
- 持ち株会は奨励金がもらえる範囲だけ使う
- それ以上はNISAでオルカンやS&P500などのインデックスファンドを買う
といった使い分けの方が、バランスは良いはずです。
持ち株会は「会社からもらえる上乗せ」を取りにいく制度。
NISAは「自分で自由に資産を育てる」制度。
同じ投資でも、役割はかなり違います。
まとめ
持ち株会は、一見するとかなりお得な制度です。
実際、奨励金がつくのは大きな魅力ですし、給与天引きで自動的に積み立てられるのも強みです。
ただし、長期で見れば話は変わります。
毎月10万円、奨励金10%、年利5%で30年積み立てた持ち株会の税引き後資産は約8,100万円。
一方で、毎月10万円をNISAで年利7%運用できた場合は約1億2,200万円になります。
差額は約4,100万円です。
さらに持ち株会には、
- 資産が自社株に偏る
- 給料も資産も同じ会社に依存しやすい
という大きなリスクもあります。
持ち株会は悪い制度ではありません。
ただ、「奨励金があるから絶対得」と考えるのは少し危険です。
本当に見るべきなのは、奨励金の数字だけではなく、
自分の資産がどこに偏っているか
なのかもしれません。
